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2009年11月 4日発行:コース別管理

【キーワード解説】 〜exBuzzwordsキーワード解説より〜

コース別管理とは、個人の労働に対する価値観やライフスタイルの多様化と企業側の人材活用の促進という双方の希望に対応する中でできてきた制度で、従業員の昇格や処遇について複数のコースを用意して、それぞれに雇用管理を行うというもの。複線型人事管理とも言われる。

 

これまでに様々な形のコースが開発されており、1、総合職、一般職、2、管理職、専門職、3、長期雇用、契約社員、パート、4、勤務地の希望により分けるもの、例えばローカル、ナショナル社員などがある。これらのコース間の異動は本人の希望と会社側の承認により可能となるよう設計されている場合がほとんどである。しかし、実態としてコースの転換が難しいなど問題があるケースも多く、コース転換制度などの充実が課題となっている。

【昨今の状況】

ここ1年間吹き荒れた人員削減の嵐も収束の兆しを見せ、人員構成の見直しを済ませた企業では新たな体制づくりに取り組んでいるところではないでしょうか。その中で、引き続き注目を浴びるのは人件費総額の管理であり、それを実現するための人事制度(特に報酬制度)の改革であることに異論はなさそうです。人事管理上の永遠のテーマである、社内に残った人材の能力を最大限に発揮させつつ、一方で上述の人件費総額管理の実効性を高めていく、ということが、現時点における最大の論点だと考えております。

 

過去5-10年間に亘って日本企業を席捲した成果主義型報酬制度は、まさにこの二律背反の命題をうまく解決することを目指していたところではあるものの、最近では見直し論が台頭しています。これまでに成果主義型の報酬制度を導入してきた企業の多くは、職能資格制度やコンピテンシー評価などを前提とした制度改革を実施した企業が多く、結局は"積み上げ"式評価になりやすい能力基準では当初の目的を達成できてこなかったことが見直し論の根拠になっているものと思われます。

 

そこで昨今注目を集めているのが「コース別管理」を前提とする報酬制度です。もともとは男女雇用機会均等法の導入により、企業が総合職と事務系一般職の処遇を切り分けを迫られたことが出発点ではあるものの、最近では人員的な余裕がなくなり部門間・職務間異動が激減していることを受けて、職務ベースの処遇を取り入れることの環境が整いつつあることから、従来の能力基準の処遇に加えて職務基準の処遇を加味した「コース別管理」の導入を検討する企業が増えているように感じられます。事実、製造業では、製造部門人員の人件費が中国などの新興諸国に比して高いこと、製造派遣に対する規制が強化される方向にあることなどを受け、製造部門人員の給与体系を開発・技術系や営業・企画系のそれとは区別して国内生産体制を維持・強化することを目指す企業が増えています。

 

但し、わが国ではもともとも職種別採用をしていない企業が多く、企業がこうした制度を導入するに際して特に将来の処遇が抑えられかねない職務に従事する従業員からすれば、制度変更に伴う不利益変更ともなりかねず、こうした扱いを受ける従業員への対応は細心の注意が求められるところです。結果的には、一足飛びに職務ベースの「コース別管理」導入とはならず、給与項目を能力部分と職務部分とに区分けして能力部分を残すことで対応することが一般的です。こうしたケースでは、当然に当初の目的実現に向けて効果が減殺されてしまうところではあるものの、従業員のやる気向上とのバランスを図る上ではむしろ必要な対応と言えるかもしれません。こうした対応に程度の差こそあれ、永遠の課題解決に向け、成果主義の次に来る人事制度として今後ますます「コース別管理」型の人事制度が注目を集めていくのではないでしょうか。

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