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2009年12月 4日発行:間接税

【キーワード解説】 〜exBuzzwordsキーワード解説より〜

間接税とは、消費税や酒税、たばこ税のように税を納める義務のある人と、実質的にそれを負担する人が異なるものを言う。

 

間接税のメリットは、所得や資産の多寡に関わらず、消費の量が同じなら等しく税負担を負うことと、勤労意欲をあまり損なわないことがあげられる。
デメリットは納税者(実質的な負担者)の個々の事情を配慮できないこと、所得が低い層ほど税負担が重くなることである。

【昨今の状況】

2009年度の税収は、当初見込みよりも9兆円少ない37兆円程度まで落ち込む見通しであることが明らかになりました。景気低迷が続いており、2010年度の税収も今年並みに低迷することが想定されていることから、民主党政権が如何にして財源を捻出するのかについて注目が集まっています。

 

その中で一つのトピックとなっているのが、間接税の一つである「たばこ税」の増税です。同じ間接税でも広く納税者に課税される消費税の増税は、国民の反発を招くおそれがあり、政治的なリスクを伴うため、かつての与党の自民党は先送りにし続けてきましたが、現与党の民主党も当面は同様に先送りにする見込みの模様です。一方で、国民の健康増進という税制とは違った側面を持ち、税負担者が限定的であるたばこ税の増税は、消費税とは異なり、政治的なリスクが相対的に低いとされているため、取り上げられやすいといえます。もっとも、増税はたばこの値上げにつながり、販売量が減少することが見込まれるため、増収効果は限定的との見方もあり、また葉たばこ農家やたばこ小売店に対する補償問題もあり、来年度からの増税幅はたばこ一本2〜3本程度の小幅にとどまる見込です。

 

たばこ税と同じく健康と関連する間接税としては、酒税がありますが、アメリカでは現在"Soda tax"なるものの導入が真剣に検討されています。以下、今年の5月12日のWall Street Journalの記事の抜粋です。

"Senate leaders are considering new federal taxes on soda and other sugary drinks to help pay for an overhaul of the nation's health-care system. The taxes would pay for only a fraction of the cost to expand health-insurance coverage to all Americans and would face strong opposition from the beverage industry. They also could spark a backlash from consumers who would have to pay several cents more for a soft drink.・・・"

 

炭酸飲料などの砂糖を多く含む飲料に税金を課すというSoda tax というアイディアがアメリカで出てきた背景には、現在議論されているオバマ政権の医療制度改革の財源をどう賄うかという問題と、社会問題ともなっている肥満に起因する医療費の増大があると言われています。たばこが健康問題に直結するというのは理解しやすい話ですが、我々日本人からすると炭酸飲料が健康問題、ひいては医療費の問題につながるというのは、今ひとつピンと来ないのではないでしょうか。しかしながら、統計によるとアメリカ人は、平均で年間50ガロン(約190リットル)、一日平均で350ml缶の炭酸飲料を1.5本を飲んでいるそうです。コーラ 1リットルには、約120グラム程度の砂糖が含まれているそうですから、仮に350mlのコーラを毎日1.5本飲み続けたとすると、コーラだけで1日94.5グラム、年間23キロ弱の砂糖を摂取しているという計算になります。実際、UCLA Center for Health Policy Research が4万人のカリフォルニア州の住人を対象に調査を行ったところ、1日に1缶以上の炭酸飲料を飲む成人のうち27%が太りすぎ、もしくは肥満であったという結果が出ており、炭酸飲料がアメリカ人の健康に大きな影響を及ぼしていることは確かなようです。これだけの量の炭酸飲料が消費されているわけですから、税を課せば相当の税収が見込まれることは容易に想定できます。New England Journal of Medicine の9月号に掲載されたレポートによれば、仮に1 ounce(約30cc)当たり 1セント課税すると初年度は147億ドルの税収が得られると試算しています。

 

もっとも、課税により売上減のリスクにさらされるコカコーラ社やペプシコ社などの大手飲料メーカーは、Soda tax導入阻止に向けてのロビー活動を積極的に行い始めており、またレストランや小売店とも連合を組んで反対運動を行うなどの動きを見せています。また、値上げを好まない消費者からの反発もあり、法案が成立するまでには紆余曲折がありそうです。

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